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『華、手折る頃』
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 3Z短編 銀魂夢小説 『 年下王子 前編  』


前編後編

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幼馴染の総悟が私と同じ高校に入学してから1ヶ月が経った。


 

学年は違うけど、家が近いこともあってほぼ毎日一緒に通学してる。
というか、寝起きが悪くてサボり癖のある総ちゃんを私がほうって置けなくて迎えに行ってると行った方が正しいかもしれない。


 


「総悟、今日先に帰ってて」

学校の下駄箱まできた私は、総悟に話しかけた。


 


「嫌でぃ」


 


嫌って・・・相変わらずだなあっと苦笑いしながらも私は答えた


 

「今日は、放課後ちょっと用事あって、多分遅くなるから、ねっ?」



 

「用事?もうすぐ試合近いってのに、練習見に来ねぇつもりですかぃ」


 

そう言いながら、総ちゃんが下駄箱を開けようとしたとき、下駄箱から何通かの手紙らしきものが落ちた。

総悟が『チッ』っと舌打ちをする。


もらっといてその反応は無いだろうと思うけど・・・。


 


「っ・・・。ゴメン、今日はちょっとっ。明日は見にいけると思うから、ゴメンねっ!」


 

落ちた手紙を拾おうとした総悟に私はそう言いながら、その場から逃げた。



 

こんなことは、入学してから何度も見てるのに。それでも、あまり良い気はしない。

入学当初から、総悟はとにかくモテる。


 


あの腹黒い部分を知らぬせいだろうか・・・総悟は恐ろしいほどのサディストなのに。

入学してまだ、1ヶ月だというのに既に何人かから告白されている。私が知らない分を入れるともう10人は軽く超えているかもしれない。



 

『でも、総悟がOKしたって聞いたことないんだよねぇ・・・サド王子め・・・。』

私がブツブツ言いながらクラスへ向かい廊下を歩いていると


 


「おーうっ、今日お前居残りなっ〜」

と突然、後から話しかけられた。銀八だ・・・銀八は私のクラスの担任。
一部ではかっこいいなんて言われてる。確かに、近づくと顔立ちは整っているけど私のタイプじゃない。



 

「おはよ、先生。でっ、なんで私が朝一から居残りなんて言われなきゃなんないんです?」


 


「あーそれはだな、毎日俺にパフェ作ってくれるって約束したろっ?」


 

また、ワケわかんないこと言ってる・・・

「そんな約束してませんっ!大体学校のどこでパフェ作るっていうんですか?本当に糖尿になっちゃいま

すよっ!」


 

「まあ、とにかく放課後残っとけって。帰ったら家庭訪問するかもなぁ」そういいながらニヤリとする。


 

あまり、関わりあいたくは無いけれど、家庭訪問されるのはもっと嫌だ・・・

「はい、はい・・・残ればいいんでしょ。わかりましたっ!」


 

私はどの道、今日は放課後残るつもりだったから 『まあ、いっか』位にしか考えてなかった。



 

「じゃあ、後でな」

そう言うと、何の歌だか知らない鼻歌を歌いながら去っていく。

なんで上機嫌なんだろう・・・不思議に思いながら教室へ向かった。




 


6時限目、窓側の席だった私は、グラウンドをチェックする

今日は1年生の男子が対抗でサッカーをしているから。


私の視線の先には、総悟。点を決めるのは総悟ばかり。

『いつ見ても運動神経抜群でかっこいい・・・』本当にそう思う。

入学してすぐにバスケ部のスタメンに選ばれたのも納得がいく。


 


思えばいつだって総悟を見てきた。昔は、女の子みたいで近所でも評判の可愛い男の子だったのに・・・

年下の可愛い男の子・・・。年下かぁ・・・。総悟はどう思ってるんだろ。


そんなことを考えながら、総悟から目が離せないでいると、総悟が一瞬こちら向く。

気のせいかもしれない・・・だけど、一瞬目が合ったような気が した。


 

「気のせいかな・・・目が合ったような」



 


「誰と?」



 


「?誰とっってそれは・・・うわぁっ」

銀八が私の机に頬杖をついて、私の顔をのぞきこんでいた。



 

あまりの至近距離に驚いて、普段出さないような大声を上げてしまった。

「しっ心臓が止まるかと思いましたよ。止めてください!」


 


それを聞いたクラスのみんなからクスックスッと笑い声が聞こえる



 

私がそう言っても銀八は、至近距離で私を覗き込んだままで・・・
銀八の顔立ちの良さに見とれてしまった。


 


銀八に私の心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい・・・強く打つ、鼓動。


私は、銀八に気づかれたくなくて、必死で『静まれ、私の心臓ぉおおお!!』と祈りながら、ギュッと目を閉じた



 


すると銀八は私の頭をポンッポンッと軽くたたくと、

「授業中くらいはちゃんと見とけっつーの」と言いながら、また授業を再開した。





 

『・・・なんで聞いとけじゃなくて、見とけなんだろ?総悟を見とけって事だろうか?』



 

いやでも今、それで怒られたわけだし・・・自分の都合の良いようにそんなことを考えていると、あっという間にチャイムが鳴り、最後の授業が終わった。



 


ガタガタっとみんなが帰る準備をする中、私はグラウンドに目を向ける。
だけど、そこには総悟の姿はない・・・。当然のことだけど、私は少しがっかりした。




 

教室に人もまばらになった頃、親友が私に駆け寄る


 

「帰んないの?」っという親友の言葉に


 

「うんっ、今日はちょっとね」

と言いながら、かばんからリストバンドを取り出した。


 


「あーそっか、もうすぐ総悟君試合だもんね!これは、私が手伝っちゃ意味ないもんね?」

そう言いながら、意味深にニヤリとする。



 


「はははっ・・うん。裁縫死ぬほど苦手なんだけどね・・・。」


 


「じゃあ、あんあまり無理しちゃダメだよ。あと、くれぐれも指は縫わないようにねっ!じゃあ、お先!」

そういいながら、帰っていった。




 


親友だけは知ってる・・・。私が、ずっと総悟のことが好きだってこと。






 

私は誰もいなくなった教室で、リストバンドと悪戦苦闘。

表側じゃ、多分恥かしいだろうから・・・裏側にメッセージを縫う・・・つもり。






 

「イッタアアアア!」


 

もう何回目だろう・・・自分の指を縫うの。ここまで、不器用だと反対に器用に思えてくる。



 


と突然、自分の腕を誰かが掴んだかと思うと指先に生暖かい感触・・・


 

驚いた私が顔を上げるとそこには、私の指先を口に含む・・・銀八。



 


「ヒッ・・・」あまりのことに声が出ない。


 


私の指先を口に含む姿が・・・普段の銀八とは全く違って。
声を出すことも、振り払うことも忘れてしまった。



 

名残惜しそうに傷口をペロッと舐められ、指先のうずくような痛みに

「んっ!」っと声が漏れてしまう。


 

そんな私の様子を見た銀八の口元が、薄く笑ったのを私が知るはずも無い。




 

銀八はもう一度指先をペロっと舐めると「は〜い、消毒終わりぃ」そう言って私の指を離す。




 


開放された私は、放心状態で・・・ただ、立ち尽くすしかなかった。


 




 




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