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〜 長編 連載銀魂夢小説 〜

『華、手折る頃』
 高杉様

『記憶』 銀高桂坂土沖


〜短編 銀魂夢小説 〜

『夢見心地』 銀時×銀八×金時

『あなたのとなり』 銀時

『俺のとなり』 土方


〜 3Z短編 夢小説〜

『年下王子』 前編後編

『雲と糸』


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 3Z短編 銀魂夢小説 『 年下王子 後編 』


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「な〜に、ボーっとしてんだ。消毒終わったぞ〜、おーいっ!」


銀八に耳元で話しかけられて、ようやく普段の私に戻る



「ちょっ、ちょっとぉおおおおおお!!!!なにすんですかぁあ!!!!!」



「んー?だから消毒って言ってんだろ、んな怒んなよっ」



「ふっ、ふっ、普通、怒りますよぉおっ!!!」



一人で怒る私を尻目に、銀八はリストバンドを手に取るとあきれたように


「しっかし・・・お前不器用すぎだろ。」と言ってきた。




銀八の手に持っているリストバンドは・・・。
失敗しすぎて、リストバンドとはもはや言えない代物になっていた



「そんなこと・・・そんなこと言われなくても知ってますっ」


そう、そんなこと言われなくたって知ってる。裁縫だけは、本当に苦手で・・・

言われたことは間違ってない。だけど悔しくて・・・視界がにじむ。


私は俯いて、しゃべれずにいると



「人間、1個ぐれぇ苦手なもんがあって丁度いいんじゃねーの?」



そう言うと、私の裁縫道具から針に糸を通し始めた




「先生、ちょっ、何して」


「んな、あせんなって。ちょっと見てろ」

そう言いながらスッと糸を通すと、裁縫道具に入っていた布を縫い始めた



「ほら、こうやると縫いやすいだろ?」

銀八が見せてくれた布にはあっという間に私の名前が入っていた。

その鮮やかな手つきに、つい見入ってしまう。



なんで、男の銀八にできて女の私にできないんだろ・・・・

あまりにも差がありすぎて、ため息が出る



ここは・・・先生に頼るしかないだろう。試合が近いこともあって時間がない。
自分だけで仕上げるのは多分、というか本当無理。



「せんせい・・・教えて。」 意を決してそう言うと



私の申し出を待っていましたとばかりに、隣に椅子を並べる。


「じゃあ、横座れや。別に捕って喰ったりしねぇーからよ」

そう言いながら、椅子をポンッポンッとたたく。



こうして、銀八に教えてもらうことになった私。練習ともになんとかキレイに縫えるようになってきた。



そんな私の様子を見た銀八から

「今日はこの辺にしとくか、もう日も暮れちまったしな」


そう言われて窓の外に目をやると、薄紫の空に月。


「そうだね、先生、ありがと。今日はこの辺にしとく。」



「ああ、・・・・」



私は帰る用意をしていて、銀八の言葉の最後が聞こえなかった


「?先生ごめん、最後聞こえなかったんだけど」



そう言うと銀八が手招きをするので、私は疑問に思いながら近づくと突然手を引かれた。私は、思わぬ銀八の行動にバランスを崩して銀八の胸に飛び込んでしまう。


「ごっ、ごめっ」そう謝ろうとした私の言葉は銀八の言葉でさえぎられる




 


「次は、手取り足取り教えてやるよ」


そう耳元でささやかれた銀八の甘い声に、背筋がゾクッとする



「けっ、けっ、結構ですううううう!!!!」


私は、そういうと銀八を突き飛ばして慌てて教室を飛び出した。



教室からは銀八のクスクス笑う声が聞こえる。





「さあ、あいつはどうするかねぇ・・・」


そう言った銀八の言葉は私の耳に届かない



 







 

私は、走って玄関までつくとへなっ座り込んでしまった

「はあっ、はあっ・・・何なのよ・・・。」


誰もいない安心感で思わず、言葉に出してしまう。



「あんたが何やってんですかィ」


「ヒィッ」

誰もいないと思っていた私は、聞き覚えのある声に後ろへ後ずさった。



「そっ、総悟・・・なんで、ここに」


「試合が近いんでねぇ、あんたこそこんな時間まで何してんでさァ」



靴箱に持たれながら、そう問いかけた総悟は・・・冷たい目で私を見ていた。

別に後ろめたい事をしてたわけじゃない。だけど、私はあまりにも冷たい総悟の視線に耐え切れなくて俯いてしまう。



「いや、あっあの用事でちょっと・・・」


私は銀八と一緒だったことを気づかれたくなくて、あせりで声が上ずる

まさか、『銀八に裁縫を教えてもらってました』なんて正直に言えるはずもなく・・・



「そういやぁ、朝そんなこと言ってやしたねぇ。で?あいつと2人で会うのが用事だったんですかィ」



「なっ!?」

驚いた私が顔を上げると・・・先ほどの冷たい目をした総悟はそこにいなかった。


変わりにいるのは、悲しそうな捨てられた子犬のような目をした総悟。

そんな総悟を見たのは生まれて初めてだった。
総悟はいつだって、自信満々で余裕たっぷりで、意地悪で、冷たくて・・・だけどやさしい。




「そう  ご?」


「今日は・・・一人で帰ってくだせぇ」

私の問いかけに、そうポツリとつぶやくと総悟は歩き出す。




「まっ、待って、総悟!お願い、待って!違うのっ」

いつもと様子が違う総悟に驚いた私は、慌てて靴を履いて追いかけた。



「はあっ、はあっ・・・待ってよっ、総 悟・・・」

全力で走って、やっと追いつく。
上がる息を抑えながら、総悟に話かけても・・・返事はない。



「・・・・」



私の問いかけの答えることなく、総悟は黙々と歩いていく。



何度も何度も、話しかけたけれど結局一度も返事はおろか、私の方を振り返ることすらなかった。





気がつけば、私は総悟の背中を追いかけながら・・・子供みたいに泣いていた。


総悟と私しかいない路地に私の泣き声だけが響く。



グスッ、グスンッ

「ふぇっ・・・」



総悟が突然立ち止まる、もう涙で前が見えなかった私は、総悟の背ぶつかった。


「ごっ、ごめん・・・」


「いつまで、ついてくるんでィ?」


そう言われて初めて気がつく。もう、そこは総悟の家の前。



「あっ、あの・・・」

もう、なんて答えていいのかわからなくなった私は言葉に詰まってしまう。泣き過ぎて、頭が回らない




「家ぇ、寄っていきやすかぃ?」
総悟は仕方がないとばかりに、あきれた様子で私にそう言った。




「・・・いい の?」


「そのかわり・・・今日は誰も帰って来やせんぜィ」



総悟から『家に寄っていくか?』と聞かれたことが嬉しくて。
泣きすぎて頭が回らない私は・・・その後の言葉の意味がわからなかった。




私の返事を待つ前に、総悟が玄関の鍵を開け、ドアを開けて横に立つ。


「先に部屋に行っててくだせぃ」


「うん・・・、おじゃま しま す」


そう言いながら私は、靴を脱ぎ2階の総悟の部屋へ向かう。




玄関でガチャリと鍵のかかる音が聞こえた。
だけど・・・そのときの総悟が『ククッ』と笑ったことに気づくはずもない。





総悟の部屋に入ると、昔のままで懐かしい。子供の頃は、よくお互いの家を遊びに行ったり、来たり。


ずっと・・・一緒だった。


部屋を見渡すと・・・子供の頃の写真が飾ってある。

2人で仲良さそうにしている姿が、自分達のことなのに微笑ましく感じる。


総悟も飾っててくれたんだ・・・。



「懐かしいな・・・」




「そうですかィ」


突然の声にビクンっとした私が振り返ると、制服を着替えた総悟の姿。

総悟は、部屋のドアを閉めカチャリと鍵を閉める。


ベットにドサっと腰を下ろすと『座れば?』という事なのだろう、隣に視線を移される。




仕方なしに私は、総悟の隣に腰を下ろした。



「で?なんでしたかねィ」


そう私に聞く総悟が・・・。近すぎて緊張する。
あの大きな瞳にまっすぐこちらを見られると、何も言えなくなってしまう。



緊張と恥ずかしさで、総悟の目が見られない私は俯きながら



「・・・。あのねっ、あの・・・今日の事なんだけど。別に銀八と会いたくて会ってたわけじゃなくて・・・。その、なんと言うか。総悟の試合が近いから・・・渡したい物が」


自分でもよくわからない説明だと思う。だけど、分かって欲しくて。私は、必死で話した。



そんな私の様子を見かねたのか、総悟が口を開く。


「知ってやす・・・俺に・・・あんたが隠し事できるなんて本気で思ってんですかィ?」



平然とそう言いながら、総悟が私の手をとる


「!?」驚いた私が思わず顔を上げると





「だからって・・・。あいつにこんなことされていいわけないだろィ」


そう言いながら、私の指先を口に含む。

一本、一本・・・銀八の跡を消すようにゆっくりと舌を這わす



「ひあっ、やっあ・・・」


銀八とは違う感触に・・・声が漏れそうになるのを必死で我慢する

私のそんな様子にニヤリとすると、スッと手を離す




別にキスしたわけでもないのに・・・
私の息遣いだけが部屋に響いて、恥ずかしくて俯いてしまう。



真っ赤になる私の耳元で総悟が甘く優しい声でささやく


「まだ、お仕置きが必要ですかィ」 





「おっ・・・お仕置きって・・・。」



「別に怒ってやしやせんぜィ、あんな泣き顔、そう見れるもんじゃなし。そそられましたぜィ」



涙目の私とは反対に、総悟は楽しそうにクククッと笑いながら


「そう、その顔でさァ。全く・・・あんたの無防備には、困ったもんでさァ。」


そう言いながら、私の頬に手を当てる




「2度と銀八と2人きりにならねぇと誓ってくだせぃ・・・じゃねぇと・・・。」




先ほどの意地悪な顔とは違う。悔しそうな、真剣な眼差しで私に「誓え」と言う総悟。


その眼差しに・・・部屋に飾ってある写真を撮られた幼い頃を思い出す。


写真を撮る直前、総悟は今と全く同じような真剣な眼差しで。




 『一生、俺のもんになるって誓ってくだせィ』


 『うん、いーよ。そうちゃんのこと大好きだもん!一生お友達だよ!』




私は、そう言いながら総悟と指きりしたんだ・・・。



思い出すと同時に・・・そこで初めて、総悟の・・・私への思いに気がついた。



子供の頃から、総悟は私のことだけ見てくれてた。
それなのに、私は・・・そんな大切な誓いを立てたことも忘れてた。


 




私は、総悟の頬を両手で包み


「銀八とは2人きりになりません・・・総悟、私は一生、総悟のものだよ・・・誓います」


そう言った瞬間、抱き締められたかと思うとベッドに押し倒される




驚いた私が、総悟を見上げると意地悪な笑みを浮かべながら


「ちゃんと言えたご褒美でさぁ」


そう言うと優しく私にキスを落とした。








総悟のご褒美は、初めての私には激しすぎて・・・。




「総悟・・・大好き」


途切れそうになる意識の中、私がそう伝えると、総悟がクスッと笑った気がした。
 




 




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